204話
Bパート〜カカオよりココロ〜
銀 時:「バレンタインチョコ、一個しかもらえなかった。お母さんから」とか、「勝った、俺は二個。姉ちゃんから」とか、バレンタイン翌日に教室で嬉々としてしゃべってるやつら、来年からお前たち死刑。そんなネタもう何万年も前から、カカオとお母さんが誕生したときから使い古されてんだよ。うっとうしいんだよ。「ネタにしてるくらいだから、俺たち全然気にしてないよね」的な安い虚栄心が、うんざりなんだよ。義理だの本命だの、くだらねえやりとりしてるバレンタインという悪習そのものがっ。やめるべきだろう、こんな茶番。来年からチョコ送ったやつも、もらったやつも、全員死刑で、ファイナルアンサー?
新 八:ファ~イナルア~ンサ~。ふごっ!
銀 時:ファイナルアンサーじゃねえっ。一個ぐらい誰か持ってこいや~っ。可笑しいだろっ。途中までAパートと同じ流れだったじゃん。カット変わったらいっぱい年賀状来てたじゃん。なんでチョコは一個も来てねえんだよ。俺はなあ、チョコが食いてえんだよ~。愛などいらぬ、糖分が欲しいんだよ~っ。
新 八:僕は愛が欲しいでファイナルアンサーっ。いや、やっぱオーディエンス使っても良いですか?
銀 時:お前は一生もんたと生電話してろっ。
お 妙:付き合わせちゃって、ごめんなさいね。
神 楽:バレンタインは女が好きな男にチョコやる聞いたアル。姉御は好きな人がこんなにいるアルか?
お 妙:これはお店のお客さん用の義理チョコ。本命は、はい。
神 楽:おっ? 姉御~っ。わたしも姉御が大好きアルよ。でもチョコ用意してないね。
お 妙:いいのよ。私なんかより、誰か良い人に送ってあげなさい。
神 楽:そんなもんいないアル。
お 妙:たまには銀さんたちにでも送ってあげたら?
神 楽:え~? いいアル。好きじゃねえし、あんなアホんだらども、「ガキのはいらねえ」とか、ぐちぐち言われることうけあいね。
お 妙:そんなことないわ。神楽ちゃんがあげたら、二人ともびっくりして、きっと喜んでくれるわ。
神 楽:わたしがあげなくても、どうせさっちゃんとかからもらえるね。チョコあんがとね。
お 妙:あ、神楽ちゃん。
銀 時:お~い、何もじもじしてんだ、神楽?
神 楽:うっ、べ、別にっ。
銀 時:お前、ひょっとして……。
神 楽:はっ。
銀 時:うんこか。早く行ってこいよ。便秘は美容の大敵だぞ。ア゛~~~っ!!
晴 太:おっ。かっ、神楽ちゃん。これって、ひょっとして、まさかっ?
神 楽:チョコ。
晴 太:マ、マジで~っ? 母ちゃーん、おいらチョコもらっちゃった~。はははっ、へへ~、やったあ。
日 輪:気ぃ回してもらってありがとうね。
神 楽:別に~。
晴 太:これ、鼻クソとか入ってないよね? 大丈夫だよね?
神 楽:入ってるわけねえだろ、ぶっ殺すぞ。
日 輪:あんた意外とシャレたことできる子だったんだねえ。末は花魁も夢じゃないよ。
神 楽:マジでか? じゃあ、あんなクソったれたところ辞めて、こっちに来るかな。
晴 太:ねえ、これ食べて良い? なんかゴマみたいなの乗ってるけど。
月 詠:やめておきなし。
晴 太:あっ。
月 詠:鼻クソじゃ。食べたら腹壊すぞ。
神 楽:いい加減にしろ~。お前らわたしにどんなイメージ持ってるアルか~!
月 詠:日輪、ちょっと出掛けてくる。
神 楽:わっ。おい待てよ、返せよそれっ。
月 詠:すいませ~ん。そのでっかいハートのチョコください。
店員男:へい。
神 楽:おい、何やってるアルか、ツッキー?
月 詠:実は、ぬしらに吉原からチョコを送っておけと日輪に言われていてな。ふっ。渡しておいてもらえるか? そのついでならば、ぬしのも渡しやすかろう。
神 楽:ツッキーっ。流石は空気の読める女ね。あのKY天パとは大違いね。でもできれば一緒に来て渡してもらえると助かるアル。
月 詠:そ、それは知らん。
神 楽:なんで? ツッキーも照れてるアルか?
月 詠:な、なんでわっちが照れねばならんのじゃっ。バレンタインとか、そんなものわっちには関係ないし、これは仕事であって、わっちの意思は介入して……。
神 楽:照れてんじゃん。
店員男:お待たせしました。
神 楽:まあわかったアル。じゃあ、しっかり伝えておくから。
月 詠:何を勝手なまねさらしとんじゃ~~っ!
店員男:いやあ、さっきからツッキーツッキー呼ばれてたんで、サービスしたんです。
月 詠:いらぬせわじゃ~。「吉原一同より」に書き直せ。
店員男:すいません。すぐ直しますんで、そちらでお待ちくださいツッキー。
月 詠:なんでキサマにツッキー呼ばわりっ。おい、なんか不安になってきたから、やっぱりついて行って良いか?
神 楽:やったアル。
店員女:あの、お待ちの間よろしかったら、こちらをどうぞ。
月 詠:ったく、どいつもこいつも、妙なかんぐりをしよって。
神 楽:ああ、いいなあ。私にもちょうだい。
店員女:あ、ごめんね。これ、ウイスキーボンボンだから。お嬢さんにはちょっと早いかなあ。
月 詠:ヒッ。
銀 時:新聞ならいらねえぞ~。
月 詠:あの、銀時くんいますか? あっ、言っちゃった。どうしよう、ドキドキしてきた。やっぱりムリかも。恥ずかしい。なんてオイシイ展開あるわけねえだろ、コラ~っ! ぶははははははっ。
猿 飛:一緒にチョコ渡しに行こう?
神 楽:うん。いろいろやってみたんだけど、失敗しちゃって。
猿 飛:甘ったれてんじゃないわよ。なんで集団告白? どこの中学生?
神 楽:チョコやるだけね。なんか、照れてうまくいかないね。さっちゃんみたいなデリカシーのない女の力が必要アル。
猿 飛:もの頼まれながらこんな傷つけられたの初めてよ。そもそもっ、ツッキー。あなたが付いていながらなんてザマなの? それが十位の力? それで十位になれるの?
月 詠:まだ根に持っとるのか。
猿 飛:ライバルに手ぇ貸すなんてゴメンだけど、あなたたち程度ならなんの脅威にもなり得ないから許してあげる。まずは全裸になって、このチョコレートに浸って全身をコーティングしなさい。すべてはそこからが始まりよ。
月 詠:始まりじゃないだろ、すべてが終わるだろ。
猿 飛:かまととぶってんじゃないわよお。「恥は捨てろ」って言ってんのがわかんねえの~?
月 詠:「恥は捨てても、人間までやめる気にはなれん」と言っとるんじゃ。
猿 飛:あ゛~っ? クレオパトラは王様誘惑するために、絨毯を送ってそん中に、全裸でローションまみれでくるまってた作戦を知らないの~、あんた~?
月 詠:だから、誘惑ではなく、ただチョコを渡したいだけだと言っとるじゃろうがあっ!
猿 飛:わかったわよ。普通に行けば良いんでしょ、普通に? ホンっト、つまらない人たちね。じゃ、インターホン押すわ……。あの、なんでたて並び? どんだけ照れてんのよっ! ちょっといい加減にしてくれないっ? こっちまで緊張うつるのよっ! ホントに押すわよ? 準備良い?
神楽&月詠:っぐ……、っぐ……。
月 詠:なっ!
神 楽:さっちゃ~んっ!
月 詠:おいっ! 何をやってるんじゃあ~?
猿 飛:あのぉ、考えたら私、一回も正攻法で行ったことないから、何しゃべっていいかわかんない。
月 詠:「クレオパトラ」言ってたやつが、何を言っとるんじゃっ!
猿 飛:ごめんやっぱムリ。ツッキー行って。恥ずかしくなってきた~。
月 詠:いまさら何をっ! か、神楽。ぬしが行け。 我が家じゃろ?
神 楽:お~い~っ! 何のためにお前ら連れてきた思ってるアルか~?
新 八:神楽ちゃん一体どこ行ったんすかねえ?
神楽&月詠&猿飛:っええ~っ!
銀 時:どこまでうんこしに行ったんだ、あいつ~? あれ? いま誰かいなかった?
新 八:いやあ、誰もいないじゃないですか。あ、こんなとこにポリバケツあったかな? まあいいや。
月 詠:あの、気が向いたらこれ、万寿屋の前に置いといてくれると、助かる。すまなかったな。力になれずに。
猿 飛:よろしくお願いしま~す。
お 妙:ごめんなさいね。私、余計なこと言っちゃったかしら?
神 楽:そんなことないよっ。みんなと一緒に女の子っぽいことして楽しかったアル。もともと柄じゃなかったね。これで良いね。
お 妙:神楽ちゃん。私も誘ってくれればよかったのに。義理チョコだけど。でも、神楽ちゃんがあげないんなら、やめとくわ。
神 楽:いいよお、みんな一緒に私が届けとくね。
お 妙:でも神楽ちゃんはいいの?
神 楽:もういいアル。はぁ、そんなもの無くても、この私の地球を覆わんばかりのおっきな愛はきっと伝わるアル。えへっ、でしょう?
お 妙:うふ、そうねっ。
通行人:いや~、義理入れて三つ……。
銀 時:結局今年も一個もなしで。
新 八:ファイナルアンサーです。
銀 時:んっ? おっ!
神 楽:玄関にあったアルよ。三個。良かったな。
新 八:あ~っ! 何っ? うそっ! 誰から~っ? 誰あて~っ?
銀 時:勝手に触んじゃねえよっ! 俺のに決まってんだろうがっ! 新八、今年はチョコ四個で。
新 八:ファイナルアンサーです。
神 楽:ぱぱんぱぱんぱんぱん、ぱぴぱのの、ぱぱんぱぱんぱん。
<完>
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